輸入が進む韓国産アワビ、料理としての活用例も~韓国水協中央会のイベントレポート

韓国から日本に輸入される魚介類のなかで、韓国側の主力のひとつが養殖蝦夷アワビです。韓国からのアワビ輸入量は年々増加しており、旅館や料亭などで使われているほか、韓国政府機関などによる広報戦略により、近年は主要スーパーにも販路を拡大しています。

イオンやサミットなどの大手スーパーマーケットにも韓国産アワビが店頭に並ぶことが増えており、日本の一般消費者もアワビが比較的手に取って購入しやすい状況になっています。サイズにもよりますが1個あたり500円前後で販売されています。

●アワビとホタテの交流
日本には養殖アワビが年間1,793トン(2021年)輸入されており、年々増加する傾向にあります。

その多くは下関港や博多港から入ってくるのですが、一方で韓国へは北海道産のホタテなどが高級品として扱われています。聞くところによると「ホタテを運んだトラックで、アワビを買って帰ってくる」というほど。日韓相互に食材を交換するかのように貿易が行われているのです。

日本経済新聞の記事によれば、2022年6月には新千歳-仁川間を結ぶ貨物用の「エアインチョン」が就航。北海道産のカニやホタテが空輸され、他の北海道産食品の輸出も視野に入れている、とのこと。「北海道産ホタテ、新千歳から海外へ 輸出再始動へ一歩」(日本経済新聞 2022年6月16日)

ちなみに2017年には韓国水協中央会の東京事務所が設置されました。その後数年にわたり、販路の拡大支援や様々なイベント・フェアを行った成果が出ているためか、今ではアワビをはじめとする韓国の魚介類が日々、日本の小売店に並んでいます。


[イオンの店頭に並ぶアワビ イオンの韓国フェア(2020年1月撮影)

2022年秋にも各種イベントが行われており、韓国水協が力を入れている韓国産養殖蝦夷アワビに関するイベント、料理での活用例や、自ら輸入する業者をご紹介します。

●溝ノ口マルイでの期間限定ショップ(~2022.10.16)
JR南武線武蔵溝ノ口駅、東急線溝の口駅前にあるマルイファミリー溝口(川崎市高津区)1階の期間限定ショップにて、韓国水協中央会ショップ(ZENDAMA Sweetsと同時営業)が運営されました。

アワビ、海苔、天日塩などを中心とする韓国水産物が店頭に並べられ、料理研究家・趙善玉氏によるアワビキムチ、ZENDAMA Sweetsの韓国伝統菓子、韓国マカロン、その他韓国食品が販売されました。

地元のお客様にも好評だったようで、韓国水産物を地域の方々にPRできたようです。

●目黒区・趙善玉料理研究院にて韓国水産物料理教室(2022.10.23)
趙善玉料理研究院(目黒区緑が丘)にて韓国水産物料理教室が開催されました。当日は店舗内で「韓国フェスティバル」が開催され、そのなかで行われた料理教室でした。

講師は「善玉(ぜんだま)先生」の愛称で知られ、財団法人日韓農水産食文化協会会長の趙善玉氏。店舗内が満席となるなか、アワビの下処理から調理法まで笑いを交えた軽妙な語り口で実演されました。

アワビの調理は韓国料理に限らず様々な料理に活用できます。料理教室終了後は、狭山茶を使ったアワビ茶漬け、特製のソースを添えた蒸しアワビを参加者全員でいただき、フェスティバル開催中は冷凍アワビが1個500円で販売されました。

さらに「韓国フェスティバル」のなかで、韓国料理フォーラム日本支部による韓食大家料理大会が開催され、店舗の外に韓国料理の数々が展示されました。

そのなかでも大会参加者の数名がアワビを使用した料理作品を制作。丹精込めて作り上げられた料理を鑑賞するとともに、韓国アワビの活用方法の数々が示された形になりました。

韓食達人の称号をもつ星野久美子氏はアワビづくしの料理。

朴鏡浩氏は数々のキムチのなかでアワビを使ったキムチを作品として制作しました。

このように韓国産アワビの活用法も同時に示されたといえます。

●自由が丘ZENDAMA MARKETでのイベント (~2022.11月末予定)
自由が丘駅前で韓国食品を販売する”ZENDAMA MARKET”で、韓国産水産食品の広報プロモーション・販売が行われています。

ZENDAMA MARKETでは人気の韓国インスタント麺や飲料、キムチなどが販売されており、そのなかで韓国水産食品は韓国海苔、天日塩のほかアワビ缶詰め、冷凍アワビなどが販売されています。

韓国水協中央会のショップとして同時運営されるのは2022年11月末まで。自由が丘に行かれる際は、立ち寄ってみて行かれるとよいでしょう。

●韓国産アワビを輸入する株式会社東セン貿
韓国フェスティバルとともに同時開催された「韓食大家料理大会」における賞品提供企業のひとつである株式会社東セン貿(千葉県市原市)は、世界各国から様々な水産物を輸入する会社です。日本で初めて韓国産アワビを輸入した会社でもあり、長年のあいだ輸入に携わってきました。

同社が輸入する韓国産アワビはホテル・旅館をはじめ、小売販売店にも納入しているといい、日本国内で韓国産アワビの仕入れを検討されている方は、購入先のひとつとして同社を検討されるのもよいのではないでしょうか。

代表取締役の宮寺由貴社長は2018年に開催された韓国水産物料理大会にて、自らの会社で輸入する養殖アワビを使用して料理作品を制作し、金賞を受賞しています。

アワビの調理にあたってはこのような料理も参考になるこのでしょう。東セン貿ホームページ

韓国産アワビを使った料理については「韓旅市場」でもご紹介しています。スーパー・百貨店等で韓国産アワビを手に取った時の活用法として参考にしていただければ幸いです。

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吉村剛史(トム・ハングル)

投稿者: 吉村剛史(トム・ハングル)

1986年生まれ。ライター・メディア制作。大学時代から韓国にハマり、20代で韓国100市郡・江原道全18市郡踏破。1年8か月のソウル滞在経験があり、2021年1月に『ソウル25区=東京23区』を出版。新大久保の記事は「散歩の達人」2018年2月号 コリアンタウン特集、「新大久保コリアンタウン70年史」(海外ZINE)他 。プロフィール詳細 ホームページ Twitter:@tomhangeul