韓流ブーム以後、韓国旅行のスタイルも多様化してそれぞれの趣向にあった、さまざまなテーマで訪れる人が増えているようです。そのなかでもミュージカル鑑賞というのも、そのひとつ。
ミュージカルの題材に興味を持つ人がいるのはもちろん、ミュージカル俳優が好きで、何度も見に行ったりする人もいるそうです。なかには韓国のミュージカル俳優を目指して、韓国に留学する人も実際にいます!
さて、今回紹介する本は「ミュージカル「パルレ」を歌って日常韓国語を学ぼう」
★韓国語学習の題材、ミュージカル「パルレ」
本の題材になっているミュージカルは「パルレ」。
「パルレ」とは日本語で「洗濯」という意味。韓国・ソウルの大学路(テハンノ)にて、2005年からロングラン公開中です。
韓国の地方、江原道・江陵(カンヌン)出身の27歳のナヨンと、モンゴル出身のソロンゴがある日、物干し台の上で出会います。都会での生活には様々な困難が待ち受けているのですが… というあらすじ。
ここには貧困や、外国人の不法就労、雇用主と労働者との関係など、現代韓国におけるさまざまな社会問題が、詰まっているミュージカルです。
☆「パルレ」の舞台では!?
ところどころに弾けるような、華やかな演出が組まれていて、舞台と観客が一体になるようなシーンがあります。詳しくはぜひ舞台を見に行ってみてほしいです。
なにかと楽天的な人が多い韓国人の様子が会場にいると伝わってきます。大学路(テハンノ)に行けば、その意味はきっとわかることでしょう
重いテーマが含まれながらもそのなかで人々が一所懸命に生きている姿、そして生き生きと日常生活を送る姿を俳優たちが演じます。
★本の説明
本の著者は韓国語講師の日下隆博さん。はしがきにも書かれていますが、日下さんは今回企画監修の佐野良一さんに誘われ大学路(テハンノ)で行われている「パルレ」を見に行き、そこで感銘を受けたそうです。
「パルレ」のなかで使われた全16曲が、このCDのなかに収められており、その歌詞とその解説が書かれています。
さらに、ところどころに舞台の写真が織り交ぜられていて、舞台パンフレットを見るような感覚で楽しめるのがとても良いところ。
ミュージカルを見た方には舞台の様子が脳裏に浮かんでくるでしょうし、CDを聞きながらいるだけでも、きっと楽しくなってくるはずです。
★トム・ハングルの視点
☆生活単語が覚えられる!
「パルレ」で使われている歌の歌詞には、日常生活で使われる単語が多く含まれているそうです。
外国語習得でハードルの高いものに実は生活密着用語があります。「洗濯物干してね」といったフレーズが、意外に教科書に載っていなく、すぐに言えなかったりするものです。(「はじめに」(p.6)より引用)
教科書で覚えた言葉は、郵便局や銀行で手続きをしたり、トラブルにあったとき、仕事の場面のなかではかなり役立つのですが、家庭内での生活密着した言葉というのはルームメイトや恋人、夫婦などとして住んでいないとなかなか覚えにくい面があるのです。
そこをカバーしているということは大きい!
☆韓国旅行のビックテーマ「ミュージカル」の先駆け
そして、もう一点挙げると「韓国旅行のテーマ」としてのミュージカルの存在というのはこれから大きなものになるはずだ、と考えています。
「パルレ」のように日本語字幕付きが上映されているものもありますが、ノンバーバルのダンスミュージカルなどの作品もありますし、「言葉の壁」というのは、大きな障壁にはならないかもしれません。
追記:「パルレ」の字幕付は金・土のみ、という情報をいただきました。詳しくは主催者等にご確認ください。
「パルレ」という作品に限ったことではなく
大学路に行ってチケットブースで券を購入し、気軽にミュージカルを見て、という旅をする人も増えるはず。
韓国語の勉強だけでなく、「韓国・ミュージカルの旅」という韓国旅行の新たなスタイルの先駆けとなる本だと期待したいです。
★トム・ハングルがおすすめする読者へのメリット
なんといいますか、本に関する感想を一言でいうと、「見ていて楽しい」。ドラマのスクリプトの教材はいろいろとありますが、役者たちの輝いた姿がブロマイドのように映し出されて、気持ちいい!
「見ていて楽しい」「すがすがしくて気持ちいい!」これに尽きます!
ミュージカル「パルレ」を歌って日常韓国語を学ぼう
日下隆博 著 企画監修 佐野良一 (晩聲社 1700円+税)
<評価表>※評価は主観的なものです。
お役立ち度 ★★★★★
マニアック度 ★★★★☆
ビジュアル度 ★★★★★
リアル度 ★★★★★
オモシロ度 ★★★★★
ミュージカル「パルレ」の予約・予約方法
ミュージカル「パルレ」の予約は
以下のサイトから予約が可能です。
「パルレ」予約サイト(~2014年9月28日まで)(INTERPARK・日本語ページ)
INTERPARK(韓国)
追記
★「パルレ」韓国語学習本、その後
6月13日(金)に東京・新宿で、出版記念会が開催されました。
著者の日下隆博さんが「パルレ」のミュージカルで使われた歌を
ピアノ弾き語りでコンサートを行い、多彩な才能を披露。
特別ゲスト、日本人初の「パルレ」女優
中野真那(なかの・まな)さんが特別ゲストで登場。
透きとおる歌声がとても素敵でした!
韓国文化院の講座の有志の方々による
「パルレ」の1シーンの再現もなかなかの演技力。
最後には著者が、みずからサイン会を企画し、
ステージに行列ができるという盛況ぶりもなかなかの見ものでした。
★韓国の新聞でも報道
韓国でも「パルレ」の学習本のことが報じられています。
「こんな教材が韓国にもあれば、
英語や韓国語がもっとうまくなれたのではないか」
という東亜日報スポーツ記者のコメントもありました。
ミュージカルを題材にするという
画期的な企画が面白かったのでしょう。
<参考リンク>
「私たちはパルレで韓国語を勉強ハムニダ」
東亜日報記者ブログ(韓国語)
「ミュージカル『パルレ』で学ぶ韓国語教材、日本で出刊」
JTNニュース(韓国語)
売れ行きも上々という話を聞いています。
これからの動向にも期待がかかるところです!